works−オレ自殺ちゃん(仮)
「じさつちゃんのうた」/song of jisatsu-chang
music,words&vocal/miho emori * piano&mixing/keita akatsu * ak-studio 2006
お前の代わりにオレが死ぬ!そうさ、オレは自殺ちゃん。
■身代わりの死
オレ自殺ちゃんは決して自殺を促すものではなく、
持ち主の代わりに人形が死ぬことで持ち主の生を喜び、
再確認するためのものである。
古来より日本には「形代(かたしろ)」というものが存在している。
今でも神社でお払いする際に用いられる。
縄文時代の土偶や、弥生時代の人面土器や埴輪などにも見られ、
古くから伝わる身代わり信仰の現れである。
また、雛祭りの「雛人形」も「形代」が原型になったと言われている。
三月の上巳(じょうし)の節句に形代で体を撫でて
身のけがれや禍いを人形に移し代わらせ、
川や海に流して幼子の無事な成長を祈るものであった。
身代わりとして人形に負のエネルギーを託す事は自然なことである。
■身近にある自殺
現在日本では自殺者が急増している。
年間で交通事故で死亡する人数よりも自殺で命を落とす人の方が多い。
自殺防止や自殺者の親族を支援するために国や地方自治体が取り組むべき方策などを定めた
「自殺対策基本法」がつい先日成立するほどである。
また、自殺者の殆どがうつ病もしくはうつ状態にあったと言われ
孤独や不安、悩など、ストレスの多い社会の現状が浮き彫りになっている。
■死と生
死を考えるとき、自然と生が浮かび上がってくる。
生きているからこそ、死を怖がったり、憧れたりする。
オレ自殺ちゃんは「自殺」という名が付いているため、一見不謹慎に思われるだろう。
しかし、名前を聞いた事により「生」を無意識に自覚させるのである。
そしてもし自殺願望のある人が無惨にぶら下がっているオレ自殺ちゃんを見れば
死ぬ事がばかばかしくなり、生きる気力が沸いてくるのである。
死と生は繋がっている。
そして死にもほんの少し、笑いが必要だ。
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